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vol.05|三宅さん


今回は、だじゃ研が産声を上げた頃からずっと見守ってきた最古参(!?)メンバー、三宅さんにお話を伺いました。少しボリューミーですが、夜長のおともにどうぞ!


■ 「だじゃ研」には、いつぐらいから関わっていらっしゃいますか?

 母体である「音まち千住の縁(音まち)」ができたのは2011年かな?音まちのキックオフイベントの際、事務局スタッフとして野村さんの担当になり、2~3年一緒に関わっていました。  野村さんのことは東京に来る前、神戸の大学院で音楽療法を研究しているときに、野村さんの著書『路上日記』を読んだことがあり、面白いなと思っていました。ちょうど同時期に雑誌『教育音楽』で連載もされていて、そこに野村さんの連絡先も載っていて。『路上日記』の出版元が閉じていたので、本を購入したいと思って連絡したのが交流のきっかけでした。それが、音まちがはじまる10年前のはなし。  知人から「音まち」のことで連絡があり、それをきっかけに事務局スタッフとして関わることになりました。2012〜13年ごろ、「音まち千住の大団縁」という企画を開催した時期に、事務局からだじゃ研のいちメンバーにシフトしていった感じ。事務局や、だじゃれ関係者の懐が深く受け入れてくれたけど、後ろめたさもありました。  初期の頃はそもそも「だじゃれ音楽とは何か?」と考える時期でもありました。いまは、その「何なのか?」を模索することも含めて楽しめている時期で、新しい人に「千住だじゃれ音楽祭」を紹介する際に、意味や解釈がさらに広がるのを楽しんでいる感じです。 ■ 2014年の「千住の1010人」について、本番以前と比較してだじゃ研に変化はありましたか?

 2014年の「千住の1010人」のとき、本番前にもイベントを実施して積極的に広報していたのは知っていたけど、その時期はだじゃ研の活動になかなか行けてなくて、当日のみの参加だった気がします。  当日は、別の場所で知り合ったコミュニティ音楽活動の仲間もたくさんいるのが印象的でした。「この人もいる!あの人もいる!ライブに出てたあの人も!」って。  それ以上に、音楽コニュニティ以外の人もたくさんいたのに驚きました。そもそも1010人集まったというのが驚き!  音まち初期の頃に、同じく足立市場で開催した足立智美さんによる「ぬぉ」では、定員70人でもとても苦労して人集めしていたので。それから大友良英さんのイベントとかもあってからの、野村さんの1010人。しかも、演奏者だけで1010人。「千住の1010人」というだじゃれを実行してしまった。  あれが実現できたのを知っているから、2020年の「千住の1010人」では船で人が来るとか、電車で演奏とかって聞いても驚きはなく、むしろ楽しみ。もう何が起こっても驚かない。不可能はないよね、という雰囲気がだじゃ研の中にはあると思いますね。 ■ 直接人と会ったり集まったりできない世の中、オンラインでトライしていることはありますか?

  現在、音楽療法士として働いていて、障害のある人、こどもや高齢者、地域の人々とセッションする機会があります。  昨日、オンラインでの活動を15名の参加者とで試したけど、思った以上にノリノリでした。障害があったりして弱い立場におかれている人々は特に、この状況で活動の場所を失ったり、家から出られなくなっている人もいる。そんな中で、「活動した!」という実感を得たとか、楽しかったという感想をもらったりしています。オンラインでも感じるダイナミクス。もちろん同じ空間を共にしているからこそ得られることもあるが、それぞれの空間を垣間見ることで楽しむこともできる。未開拓ですけど、実験段階にあります。  でも、だじゃ研はもうどんどん開拓し始めていてすごいですね。 ◾ オンラインで対面すると、音が変調されたりタイムラグがあったり、セッションに不向きな部分がありますが、その辺はどんな感触でしょう?

 演奏のタイムラグは大丈夫ではないこともあるけど、模索としては面白いです。手拍子をするのでも、「よ―――/ポン!」みたいな間を取ってやったり、一定のテンポで叩いたりするだけでも、その「ずれ」が面白い。それを、面白がりたい。  リレー形式でつながる演奏をやってみるのも良いですね。言葉のリズムを楽しむワークショップを開催して、遊んだりしています。  なにをもって「合っている」と言うのか、いままでの規定概念をオンラインでは変える必要があるかも知れません。どうやってつないでいくか、一方で、オンラインでは、視覚的にも面白いことがあると思っていて。  たとえば「遠近法」。カメラにちょっと近づく・遠のく動作をしたとき、直接対面しているとき以上に視覚的に大きな違いが出て。それを指揮にするとか、面白いです。あるいは、普段はだじゃ研メンバーは藝大に集まっているのですが、遠隔ではみなさんのお部屋の様子が見えたり、リラックス感が見えたり、いつものその人とは何か違う感じがあって、面白いですね。

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千住だじゃれ音楽祭を10年近く見てきて、ご自身も音楽療法の現場で試行錯誤されている三宅さんならではの視点。この状況でも楽しめる、だじゃれ音楽の可能性に勇気づけられたインタビューでした。ありがとうございました!

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