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vol.14|しほさん

(いっぽ、にほ、さんぽ、しほ)


今回はだじゃ研メンバーのしほさんへのインタビューです。幼少期からだじゃれが好きで、現在も日常生活の中でだじゃれを楽しみ続けているしほさんに、お話を伺いました。



◆だじゃ研に関わるようになったきっかけを教えていただけますか?

野村誠さんが関わっていらっしゃった「JACSHA土俵祭りin岩槻」(※1)に参加したのがきっかけです。その時に石橋鼓太郎さん(※2)から「第1回だじゃれ音楽研究大会」(※3)のチラシをもらったのですが、研究大会に参加した後、気がついたら参加を申し込んでいました(笑)。初めて活動に参加したのは、年末のインドネシア・ツアー(※4)の時です。一度も話したこともない人たちといきなりインドネシアで会うことになったわけですね。でもあまり考えず、「とりあえず行ってしまえばなんとかなるのかな。」という感じで参加しました。


◆野村さんやだじゃ研の印象を教えてください!

はじめ野村さんは不思議な方というか、珍しい人というか…「この人はどういう人なんだろう? 会って確かめたい!」 という感じでした。ご本人に会った時は本当に衝撃がありましたね。作曲家といえば曲を書いて、音を打ち込んだりして、というイメージだったのに、野村さんは気がついたら柔道場でアラレちゃんみたいに「キーン」ってぐるぐる走り回ってたんです(小動物が同じところを駆け巡るイメージ)。私の中のイメージが良い意味で覆されましたし、「この人が企画するイベントは色々楽しくなるのかな?」と期待が持てました。

だじゃ研は「第1回だじゃれ音楽研究大会」の時から、「貝の開会宣言」(貝を2つ持って開会宣言すること)から始まって「貴重な基調講演」とか…色々と個性的でしたね。


◆しほさんについて、あらためて伺えますか?

小学校の時からだじゃれが好きです。一緒にくだらないことや面白いことを考えたりしてくれる友達(親友あーちゃん)がいて、小学校時代が一番楽しかった。何年たってもずーっと自分だけ、まだその時の気持ちのまま生きているのかもしれません。親友あーちゃんと七夕飾りの賞のネーミングを児童会で任された時、「塩こ賞」は? 「ファッション賞」は? って。

だじゃれは、言い過ぎると冷ややかな視線を感じる時もあるんです。これはあまりウケないんだ、というものは反省して、次に行こう! というエネルギーに変えています。一緒に笑った方が楽しいですよね。

たぶん親父ギャグか? だじゃれか? という境目があって。以前寒いことを言っちゃう男性がいて、「親父ギャグ」みたいに言われていたんです。「引かれてしまうからそういうことを言ってはいけない?」というような雰囲気もありました。でも私はだじゃれが好きだから、本当はあこがれの先輩の前でも言いたかったんですよね(笑)。


◆日頃からだじゃれ音楽を取り上げてくださっていると聞きました!

沖縄で子供と関わっていることが多いのですが、「だじゃれ」と言った瞬間に「あの人ね!」ってみんなが思い浮かべるくらい、私の「だじゃれ好き」が浸透しています。

実は、毎年だじゃれの本をリクエストして、子供たちのために入荷してもらったりもしています。だからいつの間にかだじゃれの本が増えていっているんですよ。それを知らずに子供たちが読んで楽しんでいるのを見ながら、「実はこれ、私が選んだんだけどね…」とこっそり笑っています(おすすめは『ホテルイカ』です)。

大勢の人が集まる記念式典で「ドミノだおし」(※5)を演奏したこともあります。今だったら、「だじゃれの音楽を何百人という人の前でやりたいです!」なんて言ったら認めてもらえるかどうか分かりませんが、でも当時は「どうしてもやりたいです。」と言ったらなぜか認めてもらえて、しかも“だじゃれの劇”(「ダジャレンジャー」「ツナグンジャー」など5人の戦隊もので、情熱のレッド、冷静なブルー、お調子もののイエロー、ミステリアスなパープル、平和的なグリーン、という人柄)まで作って…「一生ものだ」という感じでやってしまいました。

毎年、だじゃれが好きか嫌いか、言うならいつがいいか、子供たちと駆け引きをしているところです。でも言葉の端々にだじゃれが出てきてしまっているかもしれないですね! 辞典に車をつけて、これがまさに「ジテンシャ」だとか…出ないようにすればするほど言いたくなってしまっているので。


◆しほさんにとって、だじゃ研やだじゃれ音楽とは?

最近沖縄で、たまたま持っていたレタスを手に「ほうれん草連想」(※6)を観光客の前で歌ったんです。そうしたら、全く沖縄の音楽でもないのにお客さんもなぜか喜んでくださって。「だじゃれ音楽は輪になってみんなを巻き込む音楽としてもイケるんだ!」と自信が持てました。

だじゃれ音楽も、だじゃれ音楽研究会の活動としても、誰でも参加できるという点では同じでしょうか。「えー、そんなの無理です!」とか「だじゃれも言えないし、音楽もできない!」といって敬遠されがちなんですけど…でも、「ほうれん草」を唱えるだけだったら誰でもできるし、そうやって敷居をみんなで下げられたらいいですよね。

世界中どこでも、被災している人や戦争などで辛い思いをしている人たちも、心のどこかでは音楽や笑いのある日常を求めていると思います。だじゃれ音楽でそういう日常にあるものをちょっとずつできたらいいですね。


◆「千住の1010人」に向けて、だじゃ研を知らない方々へ一言お願いします!

だじゃれ音楽は、誰でも気軽に参加できます! まずは一緒にやってみよう!

※1…2016年10月に「さいたまトリエンナーレ2016」の一環として実施された、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)と公募参加者によるイベント。

※2…「千住だじゃれ音楽祭」スタッフ。

※3…2016年10月に「千住だじゃれ音楽祭」の一環として実施したイベント。「だじゃれ音楽研究会」メンバーによる個人発表の他、基調講演、コンサートなどを通じて、だじゃれ音楽の研究成果を発表した。

※4…2016年12月に「だじゃれ音楽研究会」メンバーがインドネシアに渡航し、現地のミュージシャンや市民との交流をおこなった。

※5…2012年に作曲されただじゃれ音楽。指揮者の合図に合わせて、「ド」で音階のド、「ミ」で音階のミ、「ノ=No」で音階のドとミ以外の音、「だ」で打楽器、「おし」で惜しい音のソロを演奏する。

※6…2014年に作曲されただじゃれ音楽。歌詞が「ほうれん草連想」というだじゃれだけで出来ている、フォークソング風の楽曲。


【2024年7月発行】

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