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vol.09|カルメン・マヤさん

長らく間を空けてしまいましたが、だじゃ研に関わってきたメンバーへのインタビューを再開していくことになりました。再開後第一弾として、まずはカルメン・マヤ(松岡)さんにお話を伺っていきます。

Photo: Ayaka Umeda


◆だじゃ研には、いつ頃から関わっていますか?

 「だじゃれ音楽研究会」(以下、だじゃ研)での活動以前に、「千住だじゃれ音楽祭」に関わるきっかけとしては2014年の野村誠「千住の1010人」に出かけていったのが最初です。事前のリハーサルイベントには行けなくて、開催日当日だけの参加でしたね。当時は浅草・吾妻橋にあったアサヒビールのアサヒ・アートスクエアの運営の仕事に就いたばっかりで、墨田とか、もちろん住んでいる地元の千住のことにも関わりたいと思っていた、ちょうどそんな時でした。


◆マヤさんは、以前に音まちの事務局をされていた時期がありますよね。それはいつでしたか?

 2016年度から2018年度までの3年間になります。「千住の1010人」への参加が先で、「Memorial Rebirth 千住」や野村さんのプログラムとかまちなかで色々やっているなと思いながら事務局に入りました。だじゃ研メンバーになりたいと言ったのは、事務局を離れた2019年になります。

◆事務局にいる時は「千住だじゃれ音楽祭」の担当ではなかったんですね?

 当時は「イミグレーション・ミュージアム・東京」や、仲町の家を担当していました。事務局として、だじゃ研にも関わろうかと思ったけど、なかなか手が回らず、みなさんがステージに立っている姿を見られなくて……。「だじゃれ音楽研究大会」はかろうじて見ていましたけど。だから参加したい熱だけが上がってくるような状況でした。だじゃ研メンバーの懐かしい話を聞いても実は知らないことがいっぱいあります。


◆︎2018年度で事務局を抜けられましたが、それでもなおだじゃ研に入りたいと思ったのは、何が魅力だったのでしょうか。

 (事務局として会場の外で受付をしていると)演奏を聴けていなくて、何が行われているか全部はわからないけど、楽しそうだとは思っていました。なんとなく事務局として味わせてもらっているけれども、参加したらきっともっと楽しいだろうという期待があったんですね。

 それから、決め打ちじゃない終わり方やセッションの流れってどうやったら作ったり参加できたりするんだろうっていう疑問は、参加動機の一つではありますね。実際には意外とそんなに難しいことではなかったですけれど。

◆だじゃ研の最初の印象を教えてください。

 最初から緩やかだなぁと思っていました。でも、アツい部分も感じていましたね。

 私は「千住の1010人」の時は鍵ハモチームで、チームのリーダーが胡舟さん(現だじゃ研メンバー)でした。胡舟さんは当時ハチマキ姿でリーダーをやってくれていて、「ついていきます!」と言わせてくれるような感じがあったんですけど、いざだじゃ研に入ると「誰がどう演奏しているから、あなたはこうして」みたいな誘導は全くありませんでした。そういう緩やかさのあるチーム感がいいかなと思っています。


◆野村誠さんの印象についてもお伺いできますか?

 「音楽」に向き合う方なので、「音楽」のおもしろさをすべて拾ってくださるなと常々思っています。かといってそんなに褒めたりもせず、起きた「こと」に対して「おもしろいね!」と拾うけれども、「もっともっと!」みたいな変な煽り方はせず、どんな場面でも自然に引き出してくださる方だなと思っています。


◆入る前と後でイメージが変わったり、何かギャップはありましたか。

 意外とメンバー同士で聴いている、聴き合っているというのはありました。感覚に委ねているのと、しっかり聴き合っている部分とがあると思うんですけど、やっぱりみんな音楽センスはいいなと思いますね。


◆だじゃ研のセッションの中でその場の居方、演奏の仕方など意識していることはありますか?

 何から始めたらいいかがわからない時とか、鍵ハモを片手に持ったからといって「〇〇を弾こう!」っていきなりなれない時には、聞こえたものに対して「そうそう」って相槌を打つように入っていこうというのは決めてますね。これ吹きたいってなったら吹くようにもなったかな。


◆だじゃ研の活動を通して得たことはありますか? また、その経験が活動外で活きたことはありますか?

 私は東京藝術大学音楽環境創造科出身にして、音楽演奏への苦手意識があります。それをだじゃ研に入って、何ならできるかを考えさせてもらって、以前は「カスタネットしか叩けないのよ...」と言っていたのを「カスタネットは叩けるんです!」と言えるようになりました。

 2020年にYouTubeで映像を出す機会があって、そのコーナーの枠になんの縛りも無かったんです。5分くらいという事務局からの目安はありましたが、各自でどうやるかすべて決めて、持ち寄りました。その「持ち寄り」の面白さの中で自分は何をするか、改めて考えられたんです。無理に新しいことを習得するのではなく、「何が好きだったっけ」「何ができるんだっけ」と考えて、出せたものがカスタネットでした。

 やりよう、気の持ちようだなと思えるようになったのは私の中では大きいですね。みんなと演奏すること以前に、自分自身の音楽への姿勢が自然と問われますよね。セッションだったら今までもなんとなくでやり過ごせたけど、2020年以降、オンラインでの活動が続く中で、部屋の中で何をやるのか?をしばらく問われ続けた時間がありました。その時間で、「これならできるぞ」というのを確かめられたと思います。

◆「カルメン・マヤ」と名乗り出したり、だじゃ研以外でも「カルメン・マヤ」として活動されていましたが、どういったことをされていたのでしょうか。

 フラメンコ・カスタネットの動画を出すにあたって名前を考えていた時、音まちの他の企画に関わっていたお子さんが『カルメン』にハマっていて、その話をずっと聞いていました。そのことと、自分の名前が「まや」なので、カルメン・マキさんからお名前をいただこうと思って「カルメン・マヤ」にしました。それを名乗るうちに他のこともしてみたいなと思うようになって、オンラインで「稽古Barカルメン」を始めた次第です。だじゃ研活動がオンラインになった時期でみんなと喋りたかったというのもあるし、メンバーのバックグラウンドを、折角みんな家にいるならもっと話せたら楽しいかなと思って、裏企画として始めました。


◆マヤさんにとって、だじゃ研、だじゃれ音楽というのはどういうものですか。

 いろんな制約を取り外してくれて、コロナ禍でもオンラインツールで海外と自在に繋がったり、初めましての人とも繋がれる音楽。自由度の高いものだな、と一番に思っています。即興セッションを実験する時間が長かったので、新譜と向き合う活動に戻ることもあるんじゃないかなーと思ったり。いろんなチャレンジが続いていくんだろうと思ってますね。


◆まだ見ぬ「千住の1010人 from 2020年」の本番へ向けて、何かメッセージなどはありますか。

 1010人の演奏が再スタートして、2014年に出会わせてもらったような形で奏でられるだじゃれ音楽があったらいいんじゃないかなぁと。そして、できたら2020年代版の「千住の1010人」が行えたら理想的だなと思っています。

 ただ、こうなったらいいっていう具体的な大きいビジョンは、先に組まずともできてくるのがだじゃ研じゃないかなぁと思っています。「だ(駄)」が大事ですからね!(一同笑)カッコつけず、日常の「だ(駄)」を出せたらいいのではないかな!

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だじゃ研の活動の中で、多くの気づきを得たというカルメン・マヤ(松岡)さん。事務局メンバーもまた、彼女からフレッシュな気づきを貰うことのできたインタビューでした。

お忙しい中、ありがとうございました!





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