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野村誠 千住だじゃれ音楽祭

曲について
「キタ!千住の1010人」で実際に演奏する楽曲をご紹介します。
曲に込められたメッセージや、実際に使用する楽譜、楽しみ方なども随時お届けします!
普通とはちょっと違った不思議な音楽や、楽譜が見つかるかも…?
ぜひお楽しみください!
▼曲名をクリックすると、ジャンプします
・senju2025(2025)
・調和の中の新しい文明(2025) A NEW CIVILIZATION IN HARMONY
・うさぎとかめ――次世代編(2025)The Turtle and the Rabbit - Next Generations
・キタ!千住の1010人(2025) Kita! 1010 in Senju
・マリ・キタ――音と踊り、歩みで描く(2025) Mari Kita - Dancing with Sound, Drawing with Steps
・千住宿1625 ミナミナ ! 千住の1010人(2025)Senju memorial pun-filled rebirth sextet
Senju 2025(2025)
6人の演奏家たちによるちょっと不思議なオープニング
作曲:メメット・チャイルル・スラマット Memet Chairul Slamet
出演:野村誠、菊地奏絵、北澤華蓮、桒原幹治、野木青依、水野翔子
調和の中の新しい文明(2025)
A NEW CIVILIZATION IN HARMONY
石や風が奏でる原初的なリズムや音と、現代の音楽を組み合わせる挑戦
作曲:メメット・チャイルル・スラマット Memet Chairul Slamet
出演:公募演奏者、メメット・チャイルル・スラマット、野村誠、佐久間新、だじゃれ音楽研究会
楽器制作:小日山拓也
作曲家からのメッセージ:
この作品は、調和、協調、そして共存に基づいた新しい文明の創造についての探求です。様々な芸術要素を融合した音楽と公演を通じて、「A New Civilization in Harmony」は、違いがもはや障害ではなく、調和の原理に根ざした文明を豊かにする力の源となる時代のビジョンを描いています。
『調和の中の新しい文明』のなかで使われる楽譜(一部)はこちら
うさぎとかめ――次世代編(2025)
The Turtle and the Rabbit - Next Generations
「うさぎとかめ」の子どもと孫世代の話が語られる、愉快な音楽劇
出演:狂言まいまい倶楽部、竹の塚劇団、服部櫻絲(錦琵琶)、
足立区立千寿小学校ジュニアバンド、足立区立第一中学校吹奏楽部、足立ジュニア吹奏楽団、
公募演奏者、アナン・ナルコン、野村誠
菊地奏絵、北澤華蓮、桒原幹治、野木青依、水野翔子、ウン・チョー・グゥワン、
メメット・チャイルル・スラマット、だじゃれ音楽研究会
脚本:山下芳子
人形制作:小日山拓也
森の動物たちの装飾制作:足立区立第一中学校アート部
「うさぎとかめ」の古典的な寓話は、忍耐、謙虚さ、そして粘り強さの勝利を教える世界の永遠の教訓の一つです。歩みは遅くとも、着実な精神が最後には勝利するのです。この物語は絵画、書籍、寝物語、児童劇を通して何世代にもわたって語り継がれてきました。しかし、すべてがより速く回転し、生活が加速化され、最適化され、デジタル化された世界において…私たちは問い始めます:もしうさぎとかめが現代に生まれ変わったとしたら? 「うさぎとかめ――次世代編」は、「新しい世界の言葉で古い対話を蘇らせる」ことを求める想像力から生まれました。 私は単に同じ物語を新しい舞台で再話したかったのではありません。私が探求したかったのは: 「私たちのような世界で競争とは何を意味するのか?」 「勝利は以前と同じ意味を持つのか?」 この新しいバージョンでは、うさぎとかめの子孫たちが模擬競技場—足立区立千住スポーツ公園—で競い合います。この物語はもはや誰が勝つかに焦点を当てるのではなく、代わりに楽しい混沌を呼び起こし、今日の狂騒的な世界での成功について問いかけを投げかけます。私は子どもたちに笑ってもらいたい—そして大人たちにも一緒に笑ってもらいたい—そうすれば、こんな会話ができるでしょう:「たとえ何も勝てなくても、このフィールドで喜びを持って走ることができれば、それだけでもう十分かもしれない」と。 別の次元では、この音楽物語はサウンドデザイン、動き、そして人間とテクノロジーの協働とも結びついています。それはユーモアと意味の境界線を歩み—答えの寓話ではなく、問いの寓話なのです。 最終的に、私は観客にうさぎとかめのどちらが勝ったかを判断してもらいたいとは思いません。私は観客に微笑んでもらいたいのです—知的に、優しく—この生涯の競争の真っ只中にいる自分自身を見つけた時に:時には全速力で駆け抜け、時にはほんの少しずつ這い進み、時には息を整えるために立ち止まり、時にはコースを外れてさまよい、時には疑いの中で立ち尽くし、あるいは道を見つけようと必死にもがいている。 それでも…私たちは皆、歩み続けます。旅は完璧さを待ちません。不完全さ、回り道、笑い、つまずきを等しく受け入れます。 人生の競争は続いていきます—ゴールラインに向かってではなく、理解、つながり、意味に向かって。もし私たちが一緒に走ることができるなら—たとえ異なるリズム、異なる物語、異なる速度であっても—それだけで、私たち皆が必要とする静かな勝利となるかもしれません。 うさぎに跳躍させましょう。かめに行進させましょう。私たち皆で前進しましょう—足取りに喜びを込めて、心に音楽を抱いて。 2025年の「キタ!千住の1010人」で、いくつかのささやかなアイデアを共有し、共に協働する機会を与えてくださった日本の友人たちに特別な感謝を捧げます。この物語は、遊び心のある想像力の喜び、異文化間の友情、そして物語を語り継ぐ永続的な精神に捧げられています。
作曲家からのメッセージ:
作曲:アナン・ナルコン Anant Narkkong
キタ!千住の1010人(2025)
Kita! 1010 in Senju
10曲のだじゃれ音楽が次々に登場する、1010秒の音楽集
出演:1010人の演奏者
(公募演奏者、足立区立千寿小学校ジュニアバンド、足立区立第一中学校吹奏楽部
足立ジュニア吹奏楽団、藝大ジャワガムランクラブ Titik Suara、野村誠、アナン・ナルコン、
ウン・チョー・グゥワン、メメット・チャイルル・スラマット、佐久間新、菊地奏絵、
北澤華蓮、桒原幹治、野木青依、水野翔子、だじゃれ音楽研究会)
企画協力:めとてラボ
カタカタ開発:梅田児童館の皆さん
カタカタ制作協力:足立区第一中学校アート部ほか、生徒の皆さん
作曲:野村 誠 Makoto Nomura
<ダイジェスト映像>
作曲家からのメッセージ:
この作品は《千住の1010人》(2014)をベースに作曲した《帰ってきた千住の1010人》(2020)をベースに作曲した孫曲、3代目です。様々な1010人のプレイヤーが創造的に参加してくれることを想像して作曲しました。
この楽譜はガイドです。音楽を充実した時にするのは、みなさんです。楽譜に書かれていることを手がかりに、書かれていないことをあみだして、あぶりだして下さい。
集うのが楽しみです。音にするのが楽しみです。
すべての音・動き・存在が主役になれるようにそんなキョーエンをしましょう。
(『キタ!千住の1010人』楽譜より)
「キタ!千住の1010人」楽譜はこちら
1. ボロボロボレロ!ワンダフル Borrow Borrow Bolero! Won-da-flute 全グループ
うろ覚えでボレロを演奏。犬が「ワン」と鳴き、「打」楽器、「フルート」と「振る」楽器、と続きます。伴奏にもご注目を。
だじゃれのヒント:ボロボロ/ボレロ/犬/打楽器/フルート/振る
2. ごはんはナシ・ガムラン Gohan wa NASI Gamelan ガムラングループ +ほか
インドネシア語で、「ナシNasi」は「ご飯」のこと! 炊飯釜やお茶碗もつかって、ガムラン(インドネシアの伝統音楽)風に演奏。
だじゃれのヒント:ごはん/ナシ/無し
3. ファンファーレ騒動 Fan FaRe Saw Dough 木管・金管グループ +ほか
うちわの指揮に合わせた演奏が、段々他のパートも巻き込んで大騒動になっていきます。
だじゃれのヒント:ファンファーレ/「ファ」「レ」「ソ」「ド」/ファン(うちわ)/騒動/箏(こと・そう)/のこぎり(ソー)
4. ソラミミ・カタカータ Sol la mi mi catacata カタカタ・小物・弦・ドラムグループ +ほか
空を見上げると、どこかから「カタカタ」という音やメロディーが聞こえてくるかも。
だじゃれのヒント:空耳/「ソ」「ラ」「ミ」/空/見る/カタカタ/カンタータ
5. ミンヨーみまね Minyo Milhaud 鍵盤グループ +ほか
見よう見まねで、民謡を演奏してみます。
だじゃれのヒント:見よう見まね/民謡/ダリウス・ミヨー(フランスの作曲家)
6. ケロリン唱 Kero rin round 全グループ 音具グループ
銭湯でよく見る「ケロリン桶」にささげた曲。「かえるのうた」のように輪唱してみます。
だじゃれのヒント:ケロリン/輪唱
7. フォトグーラファー → 笛るマータ Photo Good La Fa → Fuermata 音具グループ 全グループ
写真を撮ってから「グー」とポーズすると、「ラ」「ファ」の音が。段々増える笛の演奏の後は、丸太やマルタさんも登場して演奏に参加!
だじゃれのヒント:フォトグラファー/フォト/グー(good)/「ラ」「ファ」/傘/カシャ/笛/増える/フェルマータ/「待った」「待ったなし」/丸太/マルタさん
8. 水分ホキュー&なわとビート Play catch. / Skip rope. カラダグループ +ほか
そろそろ水分補給が必要な時間です。でも、この水分ホキューはちょっと違うかも?
だじゃれのヒント:水分補給/捕球/なわとび/ビート
9. スッポンポンリリズム Suppompon-ly rhythm 小物グループ +ほか
「すっぽんぽん」や「すたすた」は、お囃子の鼓のリズムを表現することば。ふつうは同時に鳴ることがない、色々なリズムを重ねてみると、「四股ンダクター」が現れ、次の曲へつながっていきます。
だじゃれのヒント:すっぽんぽん(お囃子のリズム)/ポリリズム(複数の異なるリズムや拍子が同時進行している音楽)/綱/つながった/四股/コンダクター
10. 混声四股合唱 mixed siko choir 全グループ
締めくくりは、「混声四部合唱」と思いきや「四股合唱」。大相撲の相撲甚句の「当地興行」の歌詞から抜粋で引用された、別れの言葉を皆で歌います。
だじゃれのヒント:つながった/トゥ・ワ・ガ・タ(インドネシア語で1234)/混声四部合唱/四股/相撲甚句
せっかくなじんだ 1010人
きょうは おわかれ せにゃならぬ
おなごりおしゅうは そうらえど
きょうは おわかれ せにゃならぬ
いつまた どこで あえるやら
それとも このまま あえぬやら
(思えば涙が)
パラーリ パラリと
Sekkaku Najinda Senju-nin
Kyowa Owakare Senyanaranu
Onagori Oshuwa Soraedo
Kyowa Owakare Senyanaranu
Itsumata Dokode Ayaruyara
Soretomo Konomama Aenuyara
(Omoeba namidaga) Parari Parari to
マリ・キタ――音と踊り、歩みで描く(2025)
Mari Kita - Dancing with Sound, Drawing with Steps
会場いっぱいをパフォーマーが動き、音楽を生み出す
出演:公募演奏者、藝大ジャワガムランクラブ Titik Suara、ウン・チョー・グゥワン、
野村誠、佐久間新、菊地奏絵、北澤華蓮、桒原幹治、野木青依、水野翔子、
だじゃれ音楽研究会
作曲家からのメッセージ:
私にとって音楽は、単なる音ではありません。それは動き、笑い、いたずら心、そしてコミュニティなのです。マリ・キタは、1010人の他者と共に未知の世界に足を踏み入れる招待状です。私たちは一緒に、動きを通じて音を形作り、足を通じてリズムを感じ、シンプルなジェスチャーを音楽的な遊びへと変えます。生きた楽譜を共創しましょう。言葉遊びがパターンになり、すべての音が微笑みを運ぶ、音の遊び場を。
『マリ・キタ』大まかな流れ
『マリ・キタ』楽譜はこちら
作曲:ウン・チョー・グゥワン Ng Chor Guan
『マリ・キタ』前半でスマートフォンで再生する音楽の例はこちら
「キタ!千住の1010人」のために録音した森の音
(音源について、ウン・チョー・グゥワンさんからのメッセージ)
10月12日に千住スポーツ公園で行われる「キタ!千住の1010人」で演奏される、モバイルフォンオーケストラによる作品《マリ・キタ》のために、数日前に特別トラックを録音しました。
音源は長野県の山奥、湯川沿いで収録されました。
1010人がこのトラックを携帯で再生し、円を描いて共に歩くとき、街は変容します——森の音と流れる川の音を、東京の中心へと運び込むのです。
このトラックは、お土産でもあります——持ち運びできる小さな記憶です。
朝の目覚ましにしたり、ただ聴いてこの時間と場所を思い出したりしてみてください。
音は、私たちの記憶と同じように、時間と共に変化します——しかしこれは、山々の音のかけらとして瞬間を捉え、皆さんと分かち合うための、私なりの方法なのです。
楽しんでください——そして、ぜひ参加してみてください。
千住宿1625 ミナミナ ! 千住の1010人(2025)
Senju memorial pun-filled rebirth sextet
演奏会全体を振り返るクロージング曲
出演:野村誠、菊地奏絵、北澤華蓮、桒原幹治、野木青依、水野翔子、大巻電機K.K.※
※音まちのプログラムのひとつである、無数のシャボン玉で見慣れたまちを光の風景に変貌させ、記憶を喚起する、大巻伸嗣によるアートパフォーマンス「Memorial Rebirth 千住(メモリバ)」。その中核とも言える、メモリバをともにつくっている
市民チームです。
作曲:野村 誠 Makoto Nomura